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  • ダルエスサラームの西郊にあるキゴゴ地区は、水に沈んだ。(23日付The Citizen紙一面の写真)

    57年振りの豪雨で洪水に沈んだダルエスサラーム

    タンザニアの11月、12月は小雨期と言って、4月、5月の本格的な雨期ほどではないが雨が多い。雨が降ると言っても、通常は明け方から午前中で雨は止み、午後からは日差しが回復する。それが、この12月の20日は殆ど一日中滝のような雨が続き、夕方には豪雨で死者が出たというニュースが流れた。雨脚は21日になってもおさまらず、急激な河川の増水のため、昼過ぎには都心からから郊外に延びる幹線道路の橋もすべて冠水してしまい、ダルエスサラームは大混乱に陥った。

    気象庁の発表では、20日の降水量は156.4ミリと、1954年以来の57年ぶりの記録で、建国以来ではダルエスサラームの一日当たりの最大降水量となった。21日の60ミリと合わせると二日で216.4ミリもの雨が降ったことになり、ダルエスサラームでは12月の降水量は通常118ミリなので、ほぼそれの倍量の雨が一気に降ったことになる。警察の発表によれば24日現在死者は34人だが、キゴゴ地区やムチキチニ地区では依然として行方不明者がいる模様だ。


    水に沈んだ市街の一角 この先の橋が通れなくなっている

    こういう災害にあうと政府はどういう反応をするのか、報道を追ってみた。さすがに災害への迅速な対応を印象付ける行動をきちんとしている。

    キクウェテ大統領は、早速被災地に飛んだ。ピンダ首相は各省次官全員を招集して緊急対策会議を主宰した。


    21日の昼過ぎ、セランダー橋を都心に向かって走る。この時点ではまだ道路の一部が冠水している程度。

    21日の午後、セランダー橋の歩行者用の石橋が半壊し、濁流が道に迫る。(左の地図の赤矢印の地点)

    被害は殆どが河川の周辺の低湿地地帯で発生しており、被災地を訪問したキクウェテ大統領は「どうして洪水の度に苦しまなければならないのか。この問題には永続的な解決が必要で、それは低湿地の住民全員がそこから立ち退き、再び帰って行かないようにすることだ。」と低湿地の住民に立ち退きを求めた。ちょうど東北地方の津波の被害の再発を防ぐため、住宅を低地から高地へ移そうという考えと軌を一にしている。ダルエスサラーム州のサディック知事によれば2000ヘクタールほどの土地が低湿地の住民の移住用に確保したという。ただ、移住の費用を政府が持つという話はないので、実際の移住はどう実施に移されるのだろうか。

    他方で、マグフリ建設大臣が道路公団に対して檄を飛ばしている。「災害が目前に起こっている。専門家たちは現場に出て行き、その能力を発揮して壊れたインフラの復旧に努めるべし!洪水が起こり道路網が寸断されているような時に怠けているような技術者は首を切る!」どうも、被害のあった場所に飛んで行かなかったエンジニアがいたようで、大臣は大変な激高ぶりだ。また、毀損箇所のめだった道路については、工事を請け負った建設会社に対して叱咤の声が向けられた。

    気象庁は気象庁で、定期的に出されている天気予報を無視するのは止めるようにと住民に呼びかけている。気象庁のカベルワ局長は、天気予報をきちんと見て対応策をとっていれば洪水などで人命や財産が失われることもなかった、気象庁は9月以来タンザニアのインド洋沿岸地域とヴィクトリア湖周辺地域では豪雨が見込まれると言い続けてきた、と言っている。何となく、責任逃れの発言と取れなくもない。

    職場では家が浸水した同僚もいて、後始末に苦労している。国連関係のオフィスも浸水したという報道が流れていて、被害はダルエスサラームの広範な地域に及んでいる。幸いにして私自身は被害がなかったが、通勤途中のセランダー・ブリッジは、一時通行止め。鹿島建設が造ったという自動車用の橋は大丈夫だったが、その脇にある昔からの石橋が半壊しており、道路が濁流に洗われていた。橋の上流側はマングローブ林になっていて護岸はないので、次に同じような洪水が起こった時には橋に続く道路自体が破壊されないか心配になって来る。町全体が洪水で大変な目に遭っている中で、災害の傷跡を写真に撮りたいという気持ちは日本もタンザニアも変わらないようで、このデイリー・ニュースの写真は半壊したセランダー・ブリッジの脇の野次馬をうまくフレームに切り取っていた。携帯の普及を如実に示す一コマだ。


    22日のDaily News紙一面に載った写真。壊れた場所を携帯で撮ろうとしている野次馬がいる。